先行技術に関する不実表示が不公正行為と判断されるに至ったケース
APOTEX INC. v. UCB, INC. (Appeal No. 2013-1674) において、Federal CircuitはApotex社が不公正行為を犯したという判決を支持した。
Apotex社は、特許侵害を理由にUCBを提訴していた。2つの侵害被疑製品は、権利主張されている特許にとって先行技術でもあった。特許権者は、当該の特許を出願権利化する過程で、出願の主題であるプロセスが侵害被疑製品のうち1つの製造において既に使用されていたことを実験によって知った。 特許権者はPTOに対し、この情報を再三にわたって不実表示した。さらに、特許権者は、他の先行技術を引用せず、実施されていない実験の結果を堤出した。地裁は、特許権者がPTOに対して不公正行為を行ったことを理由に、特許権者が主張していた特許を権利行使不能と裁定した。
Federal Circuitもこの判決を支持した。明白かつ説得力のある証拠によって、特許権者が重大な不正行為を行ったことが証明された。特許権者による積極的な事実の不実表示は、特許の発行を左右した「重要な情報」であった。Federal Circuitは、審査官が先行技術では出願人の発明と同じプロセスを使用していなかったと確信させられてから初めてクレームを許可したと判断した。明白かつ説得力のある証拠により、特許権者にPTOを欺く意図があったことも証明された。特許権者は、特許を受けようとしていたプロセスが既に存在し広く普及している薬剤を得るために使用されていたものと全く同じプロセスであったことを承知していたか、そうではないかという強い疑念を少なくとももっていたのである。
評決後のクレーム解釈は容認可能と判断されたケース
Federal Circuitは、MFORMATION TECHNOLOGIES, INC. v. RESEARCH IN MOTION LTD. (Appeal No. 2012-1679および2013-1123) において、裁判後のクレーム解釈を踏まえ地裁のJMOL (法律問題としての判決) を支持した。
Mformation社は、特許侵害を理由にRIM社を提訴していた。陪審がMformation社を勝訴とし1億4,720万ドルの損害賠償を認める侵害評決を出した後、地裁はクレーム解釈に関する問題を提起しさらなる状況説明を求める命令を発した。Blackberry社は、争点となっていたクレーム文言に関する裁判所の説明を踏まえて、非侵害のJMOLを更新する申立てを行い、認められた。Mformation社はこれを不服として上訴し、(1) 地裁は評決後のクレーム解釈に関する問題を不適切に提起し、(2) このクレーム解釈は、方法クレームにおいてステップの順序を必要条件としたために誤っており、(3) JMOLはそのクレーム解釈に依拠した場合でさえも不適切であった、と主張した。
だが、Federal Circuitは地裁判決を支持した。Federal Circuitは、クレーム文言に関する評決後の説明は、最初の解釈のうち何が本質的であるかを明らかにした、容認できる解説ないし説明であり、したがって誤って行われたものではないと判断した。次にFederal Circuitは、クレーム文言と従前の解釈に基づけばステップの順序が必要条件となっており、論理により特定のステップの順序が規定されていると判断した。Federal Circuitは最終的に、解説ないし説明されたクレーム解釈に基づけば陪審評決には実質的証拠による裏付けがなかったため、非侵害のJMOLは適切であったと支持した。