米国外での共存が米国内での本案的差止命令獲得に関わってくる可能性
La Quinta社は、1968年から米国内で「LA QUINTA」というホテルやモーテルを経営してきた。
一方、Quinta Real社は、1986年から「QUINTA REAL」という一連の高級ホテルをメキシコ国内で経営してきた。Quinta Real社は、QUINTA REALホテルを米国内で展開する計画を1994年そして2007年に再度発表したが、まだ実行に移してはいない。その間、La Quinta社はメキシコ国内で複数のLA QUINTAホテルを開業した。
La Quinta社は、米国内における「QUINTA REAL」の使用を阻止すべく、2009年にQuinta Real社を提訴した。地裁は両商標に混同のおそれがあると認定し、米国内で展開するホテルには「QUINTA REAL」を使用することを禁じる本案的差止命令を与えた。Quinta Real社はこの判決を不服とし、第9巡回区連邦控訴裁判所に上訴した。
第9巡回区連邦控訴裁は、混同のおそれがあるという地裁の認定を支持したが、本案的差止命令を与えた判決についてさらに検討させるため、事件を地裁に差し戻した。第9巡回区連邦控訴裁は、La Quinta社の方はメキシコ国内でLA QUINTAホテルを展開することが許されているのに、本案的差止命令によってQuinta Real社が米国内でQUINTA REALホテルを展開できなくなることに懸念を示した。控訴裁は、メキシコ国内での共存が決定的要素とは裁定せず、地裁が本案的差止命令を出すべきかどうかについても意見は表明しなかった。控訴裁判決はむしろ、地裁は本案的差止命令を与えることが公正かつ公平かどうかを判断するにあたって両当事者が米国外で共存している事実を検討すべきだというものであった。
La Quinta Worldwide LLC v. Q.R.T.M., S.A. de C.V., 2014 DJDAR 10437 (9th Cir., August 6, 2014).
「K-9 CAR ALARM」がKiaの「KIA K9」登録を阻止
Kia社のという自動車用商標の登録を求める出願が、既に登録されているカーアラーム用の商標「K-9 CAR ALARM」と混同されるおそれがあることを理由に拒絶された。
TTABは、商標の類似性が高く、カーアラームが自動車の一部として使用されることから双方の商品は相補的であると裁定した。TTAB (商標審判部) は、カーアラームの製造者や販売者は必ずしも自動車の製造や販売を行うわけではないことは認めたが、審査官が堤出した第三者の登録商標は、自動車の製造や販売を行っている企業がカーアラームなどのアクセサリーも自動車と同じ商標を付けて販売する場合があることを示していた。「そのため、カーアラームと自動車が紛らわしい商標を付けて販売された場合、現状では消費者が自分の自動車と同一の販売元から発売または認定されていると誤解してカーアラームを購入する逆混同が生じる可能性がある。あるいは、消費者が特定のメーカー製の自動車専用のカーアラームと思い込めば、そのカーアラームを買わないかもしれない」というのがTTABの見解である。
TTABは、先登録商標の中の「CAR ALARM」という名称は普通名称であると判断した。したがって、この商標のうち識別性のある部分は「K-9」のみであり、Kia社の商標の「K9」という部分とほとんど同じであった。出願人は、出願商標中の「K9」は「KIA K7」の後続製品でありKIA自動車のシリーズ製品であるという印象を与えると主張した。しかしKIAは、消費者が同社の商標中の「K9」を他のモデルや商標を認識することを証明する証拠はもちろん、「K7」という自動車を実際に販売していることを証明する証拠も何ら堤出しなかった。
In re Kia Motors Corporation, Serial No. 85769874 (TTAB, July 24, 2014) [先例とならない]
「FAB AGAIN」、ライブパフォーマンスへの使用を証明できず
出願人は、「本質的に視覚的かつ音声的なパフォーマンスの範疇に入るエンターテイメント、すなわち音楽バンド、ロックグループ、体操、ダンス、バレエといったパフォーマンス」に使用するために、「FAB AGAIN」という商標を登録しようとした。TMEP (米国商標審査手続便覧) には、音楽バンドによるパフォーマンスなど、本質的にパフォーマンスの範疇に入るエンターテイメントサービスは「ライブ」でなければならないと規定されている。(TMEP1402.11条(g)。) したがって、見本は、観客の前でのライブパフォーマンスと関係のある使用を証明するものでなくてはならない。出願人は、販売用の音楽CDは表示しているがライブパフォーマンスには一切言及していないウェブページを堤出した。その見本が拒絶されると、出願人は当該のアルバムから音声をストリーミングすることができるリンクを表示した見本を堤出した。審査官はその証拠も拒絶した。
TTABは、ライブパフォーマンスに関係して商標が使用されていることを示す容認できる見本を出願人が堤出しなかったことを理由に、出願の拒絶査定を支持した。堤出された見本は、製品としての適切な登録は第9類で認められる録音されたエンターテイメントに関係して商標が使用されていることを示すのみであった。
In re Titan Music, Inc., Serial No. 77344197 (TTAB, August 20, 2014) [先例とならない]