Diageo、Crown Royalの巾着袋に関するトレードドレス権を主張
Diageo社は、ウイスキーに使用する「Crown Royal」という登録商標を所有している。Diageo社は、紫の巾着袋に包装した同社のCrown Royalウイスキーを長年の間販売してきた。Mexcor社が「Texas Crown Club」や「California Crown Club」などの商標を付け各州の旗をあしらった巾着袋に瓶を包装した、州をテーマにしたウイスキーのシリーズを発売したとき、Diageo社は自社の「Crown Royal」の商標と巾着袋を使用した包装のトレードドレスを侵害しているとしてMexcor社を提訴した。
陪審は商標とトレードドレスの侵害を認め、Diageo社を支持する評決を出した。また、陪審はDiageo社に40万ドルを超える損害賠償を認めた。裁判所は、差止命令に関する詳細な命令はまだ発していない。
Diageo North America, Inc. v. Mexcor, Inc. et al., Case no. 4:13-cv-00856 (United States District Court for the Southern District of Texas, December 2014).
Federal Circuit、サービス選択時に顧客が高度の注意を払うことを理由に「TAKETEN」の登録拒絶を覆す
St. Helena Hospitalは、10日間の入院型健康改善プログラムに使用する「TAKETEN」という商標の登録を出願した。PTO (特許商標庁) の担当審査官は、先行登録されている「TAKE 10!」という商標と混同されるおそれがあることを理由に、登録を拒絶した。St. Helenaの出願書には、同社のサービスが第44類に分類される「ヘルスケアサービス、すなわち、入院型プログラムにおける体重および生活習慣の健康度の評価ならびに体重および生活習慣の健康度を改善する計画の実施」と説明されている。拒絶理由として挙げられていた「TAKE 10!」という登録商標の用途は、第16類に分類される「運動および体力に関するマニュアル、ポスター、ステッカー、アクティビティカード、教育用ワークシートといった印刷物」であった。
TTAB (商標審判部) は審判において審査官の判断に同意し、混同のおそれありという結論が要素のバランスによって裏付けられていると認め、St. Helenaの「TAKETEN」商標の登録を拒絶した審査官の査定を支持した。
Federal Circuitはこの審決を覆し、再審理のため事件を差し戻した。Federal Circuitは、2つの商標が類似しているという点には同意したものの、「TAKE 10!」という登録商標を理由に「TAKETEN」商標の登録を拒絶する根拠となるような実質的証拠は何ら見出さなかった。Federal Circuitは、(1) 双方のサービスおよび商品の相違点、そして、(2) どの消費者も10日間の入院型ヘルスケアプログラムを選択し参加する際には消費者として高度の注意を払うと考えられることを指摘した。
In re St. Helena Hospital, Case no. 2014-1009, Application no. 85/416,343 (United States Court of Appeals for the Federal Circuit, December 16, 2014).
ワインとりんごジュースが関連商品であるという証明に失敗したFranciscan
カナダ法人でありアルコールを含んだ氷結りんごワインの製造者であるDomaines Pinnacle社は、「りんごジュースおよびりんごを原料とするノンアルコール飲料」に使用する「DOMAINE PINNACLE」という商標の登録をPTOに出願した。Franciscan社は、「ワイン (wineと単数形で記載) 」に使用する自社登録商標「PINNACLES」および「ワイン (winesと複数形で記載) 」 に使用する自社登録商標「PINNACLES RANCHES」と混同されるおそれがあると主張し、登録に異議を申し立てた。
TTABは、両社の商品の関連性を示す証拠が不足していることの重みが、双方の商標、販売経路、販売条件そして販売相手である購入者の類似性を上回ると判断し、異議申立てを却下した。
Federal Circuitでの上訴審において、Franciscan社は、 Franciscan社のワインとDomaines Pinnacle社の「りんごジュースおよびりんごを原料とするノンアルコール飲料」が関連商品である証拠をTTABが見逃したと主張した。Franciscan社の具体的な主張は、TTAB自体がワインとノンアルコール飲料は関連商品であると判断した In re Jakob Demmer KG 審決にTTABが従わなかったというものであった。
Federal Circuitは、Franciscan社が混同のおそれがあることを証明できなかったとTTABが判断したことは誤りではなかったと判断した。Franciscan社は、両当事者がカナダで競合しており、また、Franciscan社の親会社がワインとサイダーを販売するカナダ企業3社を所有しているという証言をTTABに提示した。Federal Circuitは、TTABがこの証拠では両当事者の商品が関連していること、または混同が生じるおそれのある状況下で同じ人々に見られる可能性が高い様態で販売されていることを証明するには不十分と指摘したことは正しかったと判断した。
Jakob Demmer 審決におけるワインとノンアルコール飲料は関連商品であるという裁定に関しては、Federal Circuitは、同審決のこの裁定には束縛されないというTTABの見解に同意した。Jakob Demmer 審決は査定系審判に関わるものであり、TTABは査定系審判では当事者系審判に比べて「証拠の許容性と証明力に関してはより寛容な姿勢」をとるのが普通である。
In re Franciscan Vineyards, Inc., Case no. 14-1269 (United States Court of Appeals for the Federal Circuit, December 9, 2014) [先例とならない].